18回 彼氏の「自傷行為」解剖医は否定 元女優は頭を深々と…


  《法廷では、解剖医に対する弁護人の尋問が続いている。

解剖医が『藤家英樹さんの傷は自傷による可能性は低い』と

証言したことについて、弁護人はさまざまな角度から

質問を投げかける》



 弁護人「藤家さんは肝硬変だったようですが、

     普通の人より血が止まりにくい状態だった

     のですか」

 解剖医「はい、そう思います」

 弁護人「藤家さんの傷が自傷である可能性に

     ついてうかがいます。『自傷ではない』と

     おっしゃったのは、傷の状態で判断された

     のですか」

 解剖医「はい」

 弁護人「藤家さんの傷は、背中といっても左脇に

     近いですね。そうすると、手を回して刺すことは

     できないと」

 解剖医「…うーん、手を大きく回せば刺せない

     位置ではないと思いますが」



 《解剖医は身ぶりを交えながら説明した》



 弁護人「では、傷口が真ん中だったら自分で

     刺せる可能性はなくなりますか」

 解剖医「たとえ真ん中でも、手を大きく回せば

     刺せない位置ではないと思いますが…」



 《弁護人は、自分で刺せる位置に傷口があることを、

解剖医の口から説明させたかったようだ。

次に、傷口の具体的な状態へと話が移る》



 弁護人「先ほど、『傷口がきれいなことなどから

     自傷は難しい』とおっしゃっていました。

     傷口はきれいだったため、自分で刺したなら

     そんなにスッとは抜けないということですね」

 解剖医「はい、そうです」

 弁護人「藤家さんは当時アルコールが入っていた

     ようですが、アルコールが入っている人は

     痛みが和らぐのではないですか」

 解剖医「そうですね」  

 弁護人「(解剖医の)供述調書にも『藤家さんは、

     軽度から中度の酩酊状態だったため、痛みは

     和らいでいた』とあります。藤家さんは当時、

     酔っていたんでしょうか」

 解剖医「そのようです」



 《弁護人は、藤家さんが酔っていたために痛みを

感じず、自分で刺しても他人が刺したような傷が

できる可能性もあったことを法廷に印象づけようと

しているようだ。今度は、藤家さんを傷つけた凶器

へと話題が移った》




 弁護人「先生は先ほど、『藤家さんは果物ナイフで

     刺された可能性が高い』とおっしゃいました。

     ここで、部屋にあったほかの文化包丁の写真

     示します」

     「刺し傷の幅が2・5センチで、果物ナイフと

     一致していると話されていましたが、この写真の

     文化包丁の幅が2・5センチ以上あるということは、

     写真ではわかりませんよね」

 解剖医「はい」



 《弁護人は、写真だけではサイズは分からないという

ことを明らかにしようとした。続いて、犯行後の

現場マンションの台所を撮影した写真を解剖医に示し、

再び質問を投げかける》  



 弁護人「食器かごの下に、はさみのようなものが

     ありますね」  

 解剖医「はい」

 弁護人「このはさみが凶器になった可能性は

     ありますか」

 解剖医「はさみの先の形状によりますが、ないとは

     いえません。ただ、傷口のみね幅(凶器の厚さ)は

     1ミリで、(包丁より刃が厚い)はさみが使われた

     可能性はあまりないと思います」

 弁護人「しかし、尖っていて薄い刃のはさみだったら、

     凶器になった可能性もあるということですね」

 解剖医「ものすごく特殊なはさみを持ってくれば

     ですが…」



 《『はさみも凶器になりうる』ことを説明させようとする

弁護人に対し、少し笑いながら答える解剖医。弁護人は、

質問を藤家さんの傷口に戻した》



 弁護人「藤家さんの傷口は、藤家さんが自分から

     動いてこのような傷口になる可能性はありますか」  

 解剖医「あると思います」

 弁護人「では、誰かが刃物を持っていて、刺さった後に

     自分から引き戻るということは」

 解剖医「相対的な動きですから…」



 《弁護人の質問の意図がわかりにくかったのか、答えに窮する

解剖医。すかさず検察官が補足で質問する》




 検察官「今の質問は、藤家さんが自分から後ろに

     バックして、第三者が持っていたナイフに当たりに行った

     可能性があるか、という質問だと思います。可能性は

     あるのですか」

 解剖医「ないとはいえませんが、難しいと思います」

 検察官「被告の左手の傷ですが、これは

     果物ナイフによる傷の可能性が高いのですか」

 解剖医「そうです」



 《弁護人、検察官の質問が終了し、続いて

裁判官の補足質問に入った》



 裁判官「先ほど、いくつか『自傷行為ではない』と説明

     していました。そうする理由について教えてください」

 解剖医「まず、藤家さんの傷口がきれいで、刺したのと

     同じ角度で引き抜かれたはずで、自分で刺したら

     痛くてぶれるはずなので、自傷とは思えません。

     あと傷口が背後にあるということです」

 裁判官「お酒を飲み、痛みが弱まっているよう

     ですが、どのぐらい弱まっていたのですか」

 解剖医「個人差があるので何とも言えませんが、

     痛みを感じないほど酔っていたとすれば反対に

     手が震えますから、あんなにきれいな傷には

     ならないと思います」

 裁判官「藤家さんの感じた痛みは、どのぐらいの

     痛みなのですか」

 解剖医「皮膚の神経が集中しているところに

     刺さりましたから、かなりだと思います。

     また肺に達しているので、息苦しさも

     あったかもしれません」



 《裁判官が質問を終え、秋葉康弘裁判長の質問に入る。

背中に自ら刺せるのか。裁判所側が争点を整理

しようとする質問が続く》



 秋葉裁判長「被害者の体型は?」

 解剖医「そんなに変わったという感じではなく、

     中ぐらいかと…。太っているわけでもなく」

 秋葉裁判長「証拠として出されたのもには

     身長が書いていませんでしたが」

 解剖医「そこ(身長)までは覚えていませんが、

     鑑定書には書いています」  



 《手が長いといった、自分で刺せるなどの身体的

特徴がないのかを確認しているとみられる。

証拠として添付された写真の見方の解説を解剖医に

求めた後、話は「傷口」へ》




 秋葉裁判長「おおよその感じでいいのですが、

        脇の下からどれくらいの位置に傷があるのですか」

 解剖医「15〜20センチ下のところ。あばら骨には

      10本の骨があり、下から2〜3番目の間に位置しています」

 秋葉裁判長「6センチの深さとあるが、大きな

      血管はあるのですか」

 解剖医「あと5〜6センチ背中の内側ならあるが、

     (藤家さんの)傷口ならありません」

 秋葉裁判長「この深さで心臓に達するのですか」

 解剖医「まっすぐ向かえばあります。ただ、それも

     (藤家さんの傷より)内側になければいけませんが…」



 《裁判長は最後に、
DNA型の鑑定結果についての

信憑性について尋ねた》


 解剖医「有名なメーカーの検査キット(器具)を

     使っているし、世界的にも同じ方法が

     とられています」



 《解剖医の尋問は終了した。衣里被告はカバンを

抱えて退廷しようとした解剖医に深々と頭を下げた。

15分の休憩後、精神鑑定を実施した医師の尋問が

行われる》



posted by ナッチャン at 13:48 | Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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